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 [118] ビースト ≪びーすと≫ [魔法用語]  【秘】

  ビースト(Beast)とは七つの大罪を内包した人類悪。人間の獣性から生み出された、災害の獣どもの総称。
ビーストの形は一つではなく、獣性に親和・適合した存在がビーストになるという前提がある。
人間の獣性によって生み出された人の大罪の起源を糧にした大災害であり、人類と人類の文明を滅ぼす破滅の化身。
文明より生まれ、文明を食らう災厄の獣たち。人類の原罪が生む自業自得の死の要因。
人類の自滅機構(アポトーシス)でもあり霊基のルートとして9つの存在が確認推測されている。
人類が最も影響をうけた大災害[ルビス]もまたこの獣のひとつ(第二の獣)である。

協会の禁忌単語としては[人類悪]人類史の中で人類である限り出てくる悪という定義
人類史に留まる澱み。いわば、人類其のものの汚点で人類を滅ぼす災害。此れは人類が発展するほど強くなる人類種の癌細胞そのもの。

かつての救世主が贖った人類の大罪のような単なる欲望や悪意といった個人的で一過性のものではなく。人間が人間であるが故に犯さざるをえない悪癖であり、
そして、どうしようもなく人間を人間たらしめる性質そのものが抱える普遍かつ根源的な罪業たち。
全人類が内包しているであろうこの大いなる悪には誰も克つ事はできず、知恵を人類が捨てられないのと同じく、悪もまた捨てられないと云われる対価悪として位置づけられる。
しかし発現の予測と回避は十分な時間と用意があれば可能であるとも云われ。其の結果が今の存続する人類になる。

現在魔術協会にて観測登録されている個体は9つ。
同類禁忌用語として神祖と呼ばれる最上位準現象個体があるが其方は個体数が26と数も多い。人類悪と比較される際には真災厄、準災厄と区別される。
個体として肉体を持った時点で現界受胎した場合は神に近いながらも討伐は可能とも云われ現在も魔術協会では準最大級研究題目として特務機関が過去も現在も設置されているが研究中に事故消滅するケースもある。またこれらの研究機関はロンドン塔の他にエジンバラ等他現在では仲たがい気味な協会関係の中で唯一共同研究機関が存在存続している稀有な施設にもなる。


第一の獣
人間が生み出した人類史をもっとも有効に悪用した大災害
人類悪のひとり 憐憫の理を持つ獣 獣性は人が人を哀れみ失望する奢り ソロモンの小さな鍵 柱の王

第二の獣
人間が置き去りにした人類史に最も拒絶された大災害
人類悪のひとり 回帰の理を持つ獣 人類が次の段階に進むために乗り越えなくてはならないはじまりの女 原初の魔女 ルビス

第三の獣
個人が到達した人類を最も端的最短に救う大災害
人類悪のひとり 愛欲の理を持つ獣 人類七十億の命を使い、ただ快楽のみで人間を救おうとした魂 堕呑の聖女 黒菩薩

第四の獣
神魔が成り果てた人類を最も広範囲に救う大災害
人類悪のひとり 強欲の理を持つ喰人の獣 自らの愛ですべてを満たすため、宇宙を燃やすほどの愛欲を人類に振りまく死を超越したモノ 死嘲の声 喰種王

第五の獣
人間の欲望、其の競争と成長を糧とし、相手より強くなる性質を持つ災厄の獣
人類悪のひとり 比較の理を持つ獣 人類社会でのみ其の有毒性を発露する獣 鏡の魔獣 霊長の殺人者

第六の獣
人類の罪業を杯に貯めんとする膨らまし増大させる初原絶対悪の大災害
人類悪のひとり 欺瞞の理を持つ獣 聖杯の真の所有者にして、飲み干す者。徒波の彼方より来る黙示録の獣 竜魂の徒 赤瞳の妖妃

第七の獣
人類の発展によって生まれた業、其れによって生まれる原獣の大災害
人類悪のひとり 愛玩の理を持つ獣 業と罪という生きるための対価を最大限に利用して成長する獣 享虐の獣 千狐の徒

第八の獣
人間が呼び起こした、人類史を最も堪能する大災害
人類悪のひとり 暴食の理を持つ獣と云われているが他は不明 

第九の獣
災害の獣を束ねる人類悪の終局。ナインロードとして八つの悪尾を持つ人類を統治する大災害
人類悪のひとり 孵化円環の理を持つ叛逆の獣 人類の大罪を大源に座して待つ最後の試練 混沌の玉座 ケイオスクリムゾン ビーストロード

 

 [86] 蓬莱八卦 ≪ほうらいはっけ≫ [団体名] 【魔】【協】【一部秘】

  横浜の魔女。仙人仙女。横浜導師。
ほぼ8割が海に沈み、孤島が連なって諸島として存在している横浜、ベイサイド地区。
それらの中で8つの領域を1つずつ持ち所有する力ある魔女八人を蓬莱八卦と呼ぶ。
古代中国から伝わる易における8つの基本図像≪八卦≫にちなんだ方角と事物事象の力を持つ魔女達。
担当領域は、島、山、海、社など様々であるが大抵は拠点と其の周辺を管理している。
一部国津神の末裔である妖怪達が多く住む場所でもあり、それらの出自の王族の魔女や古い貴族の血統の魔女、大魔女なども存在する。
互いの領域は不可侵条約だが危機の際には相互協力する条約が交わされている。
特徴として長生で長寿的な魔女達が多く、大陸の魔女達との親睦を持つ者もいる。

 

 [85] ヴァルキリア ≪ばぁるきりあ≫ [団体名] 【魔】【協】【一部秘】

  上野軍。特務組織軍隊。
設立経緯は不明。
背景となる大災害後の上野は、魔王クラスの悪魔が徘徊する巨大悪魔地帯として混沌としていた。
当時上野に作られていた巨大核シェルターナルヴィアから名を取られたナルヴィア台地は悪魔の巣窟であり人々はシェルターから出ることさえもできなかった地上の地獄であったが…、其の悪魔たちを排除し、動こうとする魔女達の動きがあった。
シェルター脱出と地上奪還の為、志願兵員を鍛錬させ連携を取るために軍事的組織として作り上げられ悪魔に対抗した集団がヴァルキリアの前身母体だと云われる。
この際にいた魔女等は人工魔女であるウイッチインクルード達であり、多くの試験的魔女等が使用され、また戦士していった。
だが、人々を守り死んでいく魔女と悪魔を駆逐する魔女達の姿に上野の人々が一種崇拝的な感情を担うのは、自然でもあり、また対悪魔としての成果は十分なものであった。
其の後、大企業が残存するグレートコーポレート数社のバックアップを受けて、人が台地を再び踏むための悪魔殲滅を目的とした精鋭特殊部隊が設立される。
これが「ヴァルキリア」である。
名称は北欧神話におけるワルキューレの別名。
古ノルド語に由来しており、「戦場において死を定め、勝敗を決する女性的存在」という意味である。
悪魔を駆逐する魔女を女神化させる意識と士気と信仰を併せ重ねた主義とを如実に表している。
ナルヴィアの英雄と呼ばれる大魔女を筆頭に活躍した魔女らの力が更なる権力者たちの興味を引き、やがては魔術協会からの大魔女の移籍をも実現させ、後の上野を実質的管理する形にまでなったのはある意味で必然な形であった。
最高司令部は複数のグレートコーポレートの支配者たちであり、現場指揮管理を統括するのは協会からの大魔女である。
代表的な部隊としてウイッチインクルードで構成された魔女部隊があり、1部隊は4〜10名前後と少数精鋭。
他に民間からの志願兵等を加え大災害前の軍事機器の配給配布、雇用傭兵としてのディスエイブルによる外人部隊を持つ。
特に大魔女が率いる赤軍騎兵、魔女騎兵、魔兵、攻殻竜騎兵などが魔女部隊として有名であり強力。

 

 [82] ポナペの聖典 ≪ぽなぺのせいてん≫ [アイテム] 【魔】【協】【一部秘】

  ポナペ教典。深淵の大魔導書。
船長日記。

古代ムー大陸の文書のひとつ。
古代ポリネシアの魔導書のひとつでもあり、深きものたちについての内容が濃い。
彼らの扱い方、信仰の仕方、海の神々に纏わる内容、嵐の結界、海産物の豊授、神殿の作成などの秘術が記載。
深淵の魔術師ガタノソア、ゾス=オモムグの名も出てくる。
オリジナルはムーの文字である古いナアカル象形文字でヤシのパピルス紙に書かれている。
教典版である写本も存在するが荒削りであり内容の4割程度に留まる。
ムーの文書タイプが最も古く、深淵の王との接触が書かれていると云われる。
またエゼキエルの爪と呼ばれる工芸品の作成も記述。
聖典は古さ、扱いにくさと共にラクムマギリ化できると教会では分類されている。

 

 [44] 風刻のスー・ウィール ≪ふうこくのすーうぃーる≫ [人物名] 

  騎士王配下の円卓の騎士の一人。
最も若い騎士であり、10代の少女であり、巫女でもある騎士。
ネイティブ・アメリカインディアン・スー族の末裔であり、全身に紋様を刻印として刻んでいる。
ペタと言う名の、5m強の強大な白いバッファローである聖獣を常に連れている。
ショートボウ、ブーメラン、ショートスォードを使用し、鎧は銀のハーフプレートアーマーを着用。
聖剣はブーメランで、本人は、自然干渉系の魔術にも長けている。
本人の身長は150cm代の為、移動中は、ペタの上に乗っている姿もよくみられる。
決して、バッファローが本体ではない。

 

 [29] 蛇王の背骨 ≪へびおうのせこつ≫【地名】 【魔】

  魔王山脈。蛇山。
アルカディア遺跡の裏手に当たる山道の事を指す。
アルカディアが聖都として成り立つ前に住み着いていた、蛇人間と呼ばれる悪魔たちの居住区があり、平定された後も数多くの入り組んだ地下住居が見つかっていることから現在も危険性があるとされている。
高く聳え立つ山脈の異質な頂の屈折により、山中などは陽の光が届かず、万年暗い大地であり、其の為か異質な植物や悪魔が住み着いている。
山中の何処かには、蛇人間たちの支配者であった蛇の王が討ち取られた場所があると噂され、其処には蛇王を討った際の聖剣がいまなお刺さっていると云われている。
特別な磁気嵐が発生するため、電子機器は意図も簡単に壊れてしまう場所でもある。

 

 [19] 緋色 ≪ひいろ≫ [名称] 【協】【魔】

  緋色の瞳。
魔を司り統べる色でありまた魔を退ける意味合いを持つ。
忠義を示し食欲や性欲等の生物の本能的思念をもつ幻視の色。

世界や異界に緋色を持つ人種は存在しない。
これに似た色(朱色や苺色等)も同様。
魔界や異界のものが人化の際に彩る赤は黒く濁んだ色になるが、魔界の王族だけは純粋な緋色を持つとされる。
それら王族に力を与えられるものはその魔力に侵され瞳を紅くすると言われる。
なので、魔界において従者の意味合いを純粋に持つ悪魔は緋色ほど鮮やかではないが瞳が赤い場合がある。

協会では魔道を究めたものは会得するマナの律によりこの色を持つとされるがこの道を目指すものは同様にマナを抑える力を得なければ魔力により身を滅ぼすといわれる。
緋色の瞳を持つものの特長として満月の際、その魔力が著しく上昇する。また同様に思念としての二次神経が活性化するため、強い食欲や性欲、破壊衝動や残虐性/被虐性をみせ五感や感覚にも異常をみせる。其れは体内に内包する純粋な魔の魔力の暴走とも取れる。